特集記事

2017.04.04

ザガートのプレミアム・ブレンド ーー ランチア・フルビア・スポルト、アルファ・ロメオ・ジュニアZ

アルファ・ロメオとランチアはスタンダードなモデルとは別に、コーチビルドのモデルを提供していた時期があった。1960年代末のことだ。ロス・アルクレイシがその代表的な2台、フルビア・スポルトとジュニアZを比較する。

一般の人には正体不明の2台のザガート

現代美術専門のギャラリー、ファースト・サイトは、エセックス州コルチェスター中心部の人目に付かない場所にある。スチール・フレームをTECUと呼ばれる銅とアルミの可鍛性合金製の金色のプレートで全面的に覆い、アーチとなだらかな曲線とエッジとで構成されたこの建物は、不思議な風合いで観るものを魅了すると同時に、いささかの物議を醸しもする。したがって、ランチア・フルビア・スポルトとアルファ・ロメオ・ジュニアZを比較するための格好の背景といえるだろう。どちらも発売当時、そして今でさえ、その斬新なスタイリングに関して意見が分かれるクルマだからだ。


どちらも、モダン・アートの作品として展示しても場違いに見えないクルマだが、地元の人たちは、交通量の多い土曜の午後に、この2台を目にしてやや驚いているようだ。近づいてきてエンブレムを確かめ、モデル名を眺めてもなお正体が分からず、皆「こんなクルマあったっけ?」と口々にしている。

美しいまでに醜いクルマ

われわれの評価は100点中50点といったところ。あるいは、ビールの酒粕を利用してできるイギリスの食品マーマイト(これも意見が分かれる食品だ)だって、これくらいの点は取れるかもしれない。これまで数々の変わったクルマを見てきたカメラマンのジェームズでさえ、「美しいまでに醜いクルマ」だと皮肉ったほどだ。


これこそが、フルビア・スポルトとジュニアZのボディを制作したイタリアのエキセントリックなカロッツェリア、ザガートのなせる技なのだろうか。決して流行のために流行を追うことをしないこのイタリアのカロツェリアは、軽量さと強度という航空産業の原理を自動車業界に導入するために1919年にウーゴ・ザガートによって設立され、以来、誰も真似のできない独自の道を歩み、デザインの最前線に立ち続けてきた。世界中のほとんどすべての有名自動車メーカーが、一度はこのカロッツェリアの門を叩いている。中でもひときわザガートを利用したメーカーがある。そのひとつがランチアだ。

next pageそれぞれに与えられた独創的なデザイン

特集記事
 
 

特集記事

記事一覧

特別企画

記事一覧

イベント・レポート

記事一覧

イベント・カレンダー

記事一覧